奥多摩最大級といわれる石尾根は、JR奥多摩駅側から雲取山まで続いています。石尾根の特徴は、雲取山の頂上に近づくほど幅が広く壮大な景色を堪能できます。
この大きくて歩きやすい石尾根の高さへたどり着くためには、いったい何時間かかるのでしょうか。雲取山の完登に自信が持てない方も、一気に勝負しようとせずに、これを参考にして自分の登山をつくり上げてみてください。
雲取山の頂上まで最短として多く使われるのは、鴨沢ルートです。日帰り登山を目指そうとする方や、登山初級者のレベルアップに最適なルートです。JR奥多摩駅から西東京バスで「鴨沢」というバス停で降車すれば登山できます。マイカーで来る場合は丹波村村営駐車場が利用できます。
今回は、石尾根で景色を見ながら朝食を楽しむ計画を立案しました。金曜日の仕事を終えて帰宅後は24:00まで仮眠をとりました。登山を行く前提で前日のうちに準備をしておけば、帰宅後の行動は食事+入浴+休息だけになります。
「え~!?大丈夫?」と思うかもしれませんが、マイカーで登山口に向かう人たちは到着してから休むことも考えて現地へ出発しています。そのため、夜中に到着しても自動車の中で睡眠をとれば、電車とバスで向かうよりも早いスタートを切ることができます。
今回、スタートしたのは5:30でした。ライトを装備して出発しましたが、1時間もしないうちに空が明るくなってきました。日の出の時刻というのはインターネットでも調べることができますが、太陽が出ていなくても空が明るければ足元も見えてきます。ただ、山地の日の出は平野と違って山同士で日照を遮るため、平野よりも日の出が遅く日の入りが早くなってしまいます。
鴨沢ルートの特徴は、同じような道を登っていくことです。日本アルプスの百名山にあるような危険個所はありませんが、持久力が勝負になるため焦らずにゆっくり登るか、休憩回数を多く入れて石尾根まで上がれるようにしましょう。
11月の中旬から日本アルプス周辺や北日本の山々から紅葉はなくなります。しかし、11月下旬の雲取山ではまだ紅葉が残っています。奥多摩だけではなく、丹沢連峰でも紅葉は残っています。
登山口から1時間~1時間半程度で水場へ到着します。雪が積もっている時期に来たときも、ここからしっかりと水が出ていました。登山ではゴミを持ち帰るというマナーがあります。自然界へのポイ捨ては少なくなっていますが、ゼロではありません。下山時、自分のザックの中に空のペットボトルが2本あったら、ここで水を補給して家に持ち帰るとお土産やご褒美に変わります。天然水を買って登山したはずが、天然水を汲んで帰れることになります。
先ほどの写真では周囲が明るく見えていましたが、11月下旬6:30は木の陰になるとこのような景色です。
1時間半~2時間で「堂所」へ到着です。ちょうどここへ来たときにご来光となりました。この堂所は平将門に関連した場所として言い伝えられています。平将門は承平天慶の乱を起こし、藤原秀郷と平貞盛らに追われて七ツ石山へ逃げ込もうとしていました。その途中、ここで休憩をとった場所として伝えられています。
平将門は平安時代の豪族で、自分で天皇を名乗り出て朝廷との対立を起こした人物です。歴史を勉強し始めると安土桃山時代くらいから難しくなってきます。ようするに、その時代あたりから記録が多く残っているため歴史の問題も細かくなってしまうことが考えられます。山の神社やお寺、岩、神木etcからは歴史上の人物が関連してくることが多いため、その情報を持ち帰って調べれば教科書で理解できなかったことがイメージできるようになってきます。登山では、歴史だけではなく色んな知識を身につけられるチャンスがたくさんあります。
堂所から先には左手に富士山や南アルプスが少しずつ見えてきます。ここからは同じシーズンでも木の葉が枯れ落ちていました。登山道の角度や幅が変わっていなくても、自然環境の何かが変化するだけ動物の生活条件も異なります。自分たちの身体にも影響を及ぼす恐れがあることを考えて登らなくてはいけません。答えは、ここからは気温が低い場所ということを教えてくれています。そのため、休憩時には体温が低下しないように気を付けましょう。
堂所からしばらく進むと七ツ石山と雲取山への分岐点があります。もちろん、七ツ石山を登ってから雲取山へ向かう人や下山時に七ツ石山を登っていく人もいます。雲取山へそのまま向かう場合、この橋を渡っていきます。
この先もひたすら登りとなります。スタート地点とは違い、足元には石や岩が多くなってきますが、ロープや鎖を要する場所はないため地面の変化を気にせずに登れるかもしれません。ただ、落石が起こりやすいということだけは念頭に、疲れて足元ばかり見るのではなく周囲を見渡しながらゆっくり歩けば景色も存分に楽しめるのではないでしょうか。
2時間半~3時間で「ブナ坂」へ到着です。この稜線が石尾根で、向こう側が雲取山で後ろ側が七ツ石山、鷹ノ巣山です。これらの山を越えてから雲取山の頂上を目指す場合は、山小屋またはテントでの宿泊が勧められています。
ここからは山頂までこう配が緩やかに伸びていきます。そのため、息苦しさというものから解放されながら景色を存分に楽しめる稜線です。上の写真は、石尾根を登って来たところを振り返った景色で、七ツ石山が目の前にあります。
向こう側に見えるのが雲取山です。「ブナ坂」から山頂までは3~4時間として考えると、スタート地点からは5.5~7時間かかります。下山はそれよりも短く降りることができますよね。暗くなる時間が〇〇:〇〇頃だとしたら、何時に登山口を出発すればいいかな?という計算ができれば自分に合った山とコースを選べるようになってきます。
夏至は6月で冬至は12月。日照時間が長い方が安全に完登ができます。秋や冬のシーズンは、無理に頂上を目指さなくても石尾根に立って綺麗な景色を見るだけでも感動があります。逆に、そのシーズンだからこそ空気が澄んで綺麗に見えるため、ここらへんを折り返し地点にして登山をしてみるのもいいと思いませんか。
今回は、朝食を食べるための場所を折り返し地点にして休憩しました。
右側に薄く見える連峰が赤石山脈(南アルプス)です。休憩時は、少しだけ登山シューズを脱いでマッサージしてみたり靴ひもを少し緩めることで血行が促されます。
まだ朝の9:00ですが、この時間に下山すれば午前中のうちに駐車場へ到着できます。
ブナ坂から駐車場までの下山は2時間前後となります。道のりが長く捻挫や足指の擦傷が起きやすいので、ストックを利用して自分の体重を分散させながら足への負担を最小限にして降りていきましょう。
鴨沢ルートの登山口から石尾根までは往復で4時間半~5時間半の登山が参考となります。(※休憩を含めない)まずは、これをクリアしてみると雲取山の日帰り登山の達成が近くなってきます。自分が登る山の特徴を多く捉えることで、頂上までの到達が早くなっていきます。
雲取山の石尾根では自分たちで座る場所を十分に確保して休憩することができます。自分たちがたどり着いた場所で壮大な景色を見ながら食事をすれば、その思い出も自分たちの中に残りやすくなります。歴史も同じく、自分たちの目で実物を確認したものは教科書以上の知識にもなります。まだ頂上へたどり着ける自信がない人も、ここで壮大な景色を見れば大きな思い出を残せるはずです。
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